お釈迦様の弟子「プンナ」

お釈迦様とプンナ(富楼那)の話
お釈迦様のお話の中で私が個人的に最も好きなエピソードの一つ、プンナの旅立ちのお話をご紹介します。
これは私がある程度仏教を学んだ時に知った話でしたので、話を聴いても納得できる内容でした。
しかし、また別の視点から考えて見て、この話は以前の私では到底共感できるものではなかったと思います。私だけでなく、一般的にとても共感を得る話ではありません。
ですが、お釈迦様の弟子たちは心からこのように想っていただろうと、今の自分には確信が持てます。
それほど、お釈迦様の説く「真理」とは人間の思考では捉えられない世界です。皆さんはこの話を読んでどのように感じ取られるでしょうか。
どんなお話なのか、どうぞお読みください。
プンナ(富楼那)の旅立ち
お釈迦様の十大弟子の一人であるプンナ(富楼那)がお釈迦様の元を訪ねてきました。プンナはスナーパランタという遠い地で布教することを決意し、お釈迦様にお別れのあいさつにやって来たのでした。
お釈迦様はプンナへ最後に問いかけました。
「プンナよ、スナーパランタの人々はとても乱暴で気性が荒々しいといわれている。もし布教している時に彼らから激しく罵声を浴びせられたら、おまえはどうするか?」
「お釈迦様、私は彼らがとても善い人たちだと思います。私を罵っても、石を投げつけることはしなかったからです。」
「プンナよ、では彼らが石を投げつけてきたらおまえはどうするか?」
「お釈迦様、私は彼らがとても善い人たちだと思います。石を投げつけても彼らは刀で切りつけたり、棒で殴りかかってきたりはしなかったからです。」
「ではもし彼らが刀や棒で襲ってきたらおまえはどうするか?」
「お釈迦様、私は彼らがとても善い人たちだと思います。刀で切りつけられ棒で殴られても、彼らは私を殺しはしなかったからです。」
「では、ついに殺されたならばおまえはどうするか?」
「お釈迦様、私は彼らがとても善い人たちだと思います。この世界では人々は皆苦しんで生きている。生きることに悩んだり自殺したりする中で、彼らは私が自ら死を選ばずとも彼らの手で私を解脱させてくれたと思うからです。」
そして、お釈迦様はこう言いました。
「よろしい。プンナよ、おまえは既に私から教わることは何もない。そのような覚悟があればスナーパランタでの布教にも耐えることができるであろう」
その後、プンナは彼の地で多くの人々を導き、そして本当にそのような境遇に遭い殉職したとのことです。